室町末期から江戸前期に多く版行された色彩鮮やかな奈良絵を挿絵とし、物くさ太郎などの御伽草子を主な題材とした絵本「奈良絵本・絵巻」を、絵と物語の文化史から解明した前作『奈良絵本・絵巻の生成』の続編。特に「奈良絵本・絵巻」の女性制作者、居初つなを通して奈良絵本・絵巻研究の可能性に言及した問題作。

【目次】
第一編　居初つなと浅井了意
第一章　居初つなの奈良絵本・絵巻／第二章　居初つなの往来物／第三章　居初つなの作品一覧／第四章　浅井了意筆『古今和歌集』等について／第五章　浅井了意筆『鶏鼠物語』について／第六章　浅井了意の作品一覧／第七章　近世文学における作家

第二編　奈良絵本・絵巻制作の環境
第一章　同筆同一作品の奈良絵本・絵巻／第二章　同筆同一作品の絵巻／第三章　同筆同一作品の奈良絵本／第四章　小泉印系絵巻について／第五章　小泉印絵巻の展開／第六章　小泉印奈良絵本の展開／第七章　奈良絵本・絵巻の叢書／第八章　叢書御伽文庫をめぐって

第三編　奈良絵本・絵巻総論と所蔵機関
第一章　奈良絵本・絵巻研究の現在／第二章　奈良絵本・絵巻の筆跡と制作時期／第三章　物語絵、奈良絵本・絵巻について／第四章　海の見える杜美術館蔵の奈良絵本・絵巻／第五章　西尾市岩瀬文庫蔵の奈良絵本・絵巻／第六章　チェスタービーテイ図書館蔵の奈良絵本／第七章　ボストン美術館蔵の絵巻／第八章　フランス所在の奈良絵本・絵巻／第九章　大江山と『酒呑童子』について

第四編　奈良絵本・絵巻の作品論
第一章　東京大学国文学研究室蔵『しやうはう』の意義／第二章　新出奈良絵本『にんらん国』について／第三章　岩瀬文庫蔵奈良絵本『義経記』について／第四章　慶應義塾図書館蔵『十二月』について／第五章　『九相詩絵巻』をめぐって／第六章　『曽我物語』の奈良絵本・絵巻について／第七章　『源氏物語』の絵入り写本／第八章　かぐや姫の絵／第九章　日本文学・絵本における子どもたち

第五編　奈良絵本・絵巻の周辺
第一章　国文学作品における情／第二章　日本古典文学のユートピア／第三章　御伽草子に描かれた女性と仏教／第四章　御伽草子における異類婚姻譚／第五章　縁起・本地物の範囲／第六章　『小町業平歌問答』の伝本について／第七章　『阿漕』と『阿漕の草子』／第八章　源氏物語と室町物語／第九章　中世物語の研究／第十章　御伽草子の研究

第六編　奈良絵本・絵巻の講演録
第一章　奈良絵本という言葉／第二章　日本の絵本の原点、奈良絵本／第三章　室町文学・御伽草子について／第四章　奈良絵本・絵巻について／第五章　奈良絵本・絵巻の諸問題／第六章　岩佐又兵衛絵巻をめぐって／第七章　奈良絵本・絵巻の魅力／第八章　奈良絵本・絵巻の制作者、居初つな

結