【目次】
昔話の語り、語り手、話型
昔話には独特の語り口がある(小澤俊夫)昔話は時間的文芸である/馬方と山姥/実態を抜いて語る/昔話と音楽の共通性/図形的に語る/時間の一致
語り手の担う文化力(松本孝三)はじめに/語り手が伝える宝物/中島すぎさんの語り―「瓜姫小女郎」から―/中島すぎさんの語り―「蛇聟入(水乞型)」から―/「おちらしの話」―「粉」をめぐる笑いと豊饒―/直会の昔話―「爺と婆のむかし」―/麦粉の話」と茶湯の座―咄本と昔話の交渉―/「おちょんに杓文字」と狂歌咄―好き者西行の造形―/おわりに
日本の古典と昔話(廣田 收)はじめに/話型と事項/昔話「継子虐め」の話型/継子虐めの物語 貴族社会の『落窪物語』/古層としての話型/隣爺型の物語『伊勢物語』第二三段/韓国昔話と日本昔話の比較「猿神退治」の話型をめぐって/日本説話における「猿神退治」/まとめにかえて
昔話の比較・心理
昔話「蛇聟入」の比較(花部英雄)先行研究概観/「天稚彦草子」と「グビドーとプシケー」/世界の異類婚姻譚の比較/日本の蛇聟入の解釈
「はなたれ小僧さま」の心理学的再話(矢吹省司)
非日常性の体験/欲望の肥大から自我の肥大へ/自我の肥大をやわらげる―事実本位の生き方―/倉田百三の場合/爺さまの場合
昔話と道具、俗信
昔話と生活道具(常光 徹)はじめに/俗信と心意現象/天狗の隠れ蓑笠と篩/鍋墨の呪力/水甕と柄杓
動植物をめぐる俗信と俳諧(篠原 徹)はじめに/俳諧と俗信/俳諧と自然暦/俳諧と擬人法/俳諧と自然/狐狸妖怪と俳諧
柳田国男・遠野・奄美
柳田国男の読み方(大塚英志)自然主義と民俗学/「私」の書式/ロマン主義という隘路/柳田国男と公共政策論/柳田国男と近代の「宿題」
遠野の幽霊・奄美の幽霊(辰巳正明)はじめに/遠野の幽霊/奄美の幽霊
奄美の「トゥギ(伽)歌」をめぐって(酒井正子)はじめに/トギ(伽)とは/奄美・徳之島のトゥギ歌「二上がり節」/「二上がり節」の多義的な性格/「二上がり節」の広域化/おわりに―命をともにする戦場の語り―
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